研究班1 保健師活動評価指標の体系化と評価手法の検討 | 研究班2 ICTを活用した保健師活動マネジメントツールの開発


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目次

保健師活動のPDCAと記録の重要性
保健師活動の質評価が進まない原因
保健師記録の課題
研究1・2のねらいと取り組み内容


保健師活動のPDCAと記録の重要性

地方自治体の保健師は、個人と地域全体の健康増進及び疾病予防にむけて、多様な保健活動を幅広い対象に行っています。保健師活動の対象である住民および地域の健康課題が多様かつ複雑になる中、保健師が行う個別支援についてもPDCAサイクル(計画・実施・評価・改善のプロセス)に基づいた質の高い保健師活動の展開が求められています。具体的には図に示したように事例の経過やアセスメント内容、活動計画、活動内容、観察内容、評価、改善のサイクルを回していく必要があり、その推進には基盤となる記録が重要となります。

図 個別支援における保健師活動のPDCAサイクル

 


保健師活動の質評価が進まない原因

保健師活動の質評価が進まない原因としては、活動を評価する時間的・人員的な余裕がないことに加え、評価に必要なデータを取得・分析するためのシステムが不十分なことが挙げられます。また、保健師活動の質を評価するために必要な指標や手法が確立されていないことも一因となっています。加えて、保健師データの取得・分析においては保健師による記録がカギとなりますが、現在保健師記録には①効率性、②内容、③活用・評価に関する課題があると考えています。次項でその課題について具体的に掘り下げてみます。


保健師記録の課題

保健師記録の課題は①記録の効率性に関する課題、②記録の内容(質)に関する課題、③記録の活用・評価に関する課題に分けられると考えています。具体的には、①電子記録と紙での記録が混在しており、情報収集や記録作成に時間がかかること、②記録の記載方法が構造化されておらず叙述的な記録になりがちであること、また用語が標準化されておらず、書き手によって表現が様々であること、③評価に必要な情報が正しく記録・蓄積されていないことなどが挙げられます。


研究班1・2のねらいと取り組み内容

これまで述べてきた課題を解決するために、研究班1では、保健師活動の評価指標を体系化し、評価手法を検討することを目的に、既存の電子データ活用による妊婦への保健師活動評価に向けた指標の検討に取り組んできました。研究班2では効率的かつ効果的な保健師活動への改善を促進する業務支援・質評価支援を実現するため、患者状態型パスシステム(PCAPS)を保健師領域に応用した「保健師活動マネジメントツール」の開発を目指し研究に取り組んでいます。ここでの保健師活動マネジメントとは、PDCAサイクルを回しながら保健師活動を評価・改善するプロセスを指し、保健師活動マネジメントツール(以下、ツールとする)とは、効率的かつ効果的な保健師活動の展開を促進する業務支援および質評価支援を実現するための電子記録システムのことです。現在、複数の自治体と連携し収集した保健師が関わる事例をもとに、搭載するコンテンツ(プロセスチャート、ユニット移行アルゴリズム、標準用語マスター)の作成に取り組んでいます。

 

図 研究①②の概要

※患者状態型パスシステム(PCAPS)とは

患者状態適応型パスは「患者状態」を基軸として複数の「目標状態」がリンクされ分岐統合しながら最終目標状態に至る経路を示し、患者状態の変化を可視化したもので、①事例の経過をチャート図で整理することができる②性格で漏れの無い記録をナビゲートできる③看護実践標準擁護用語に対応などの利点があります。PCAPSを利用して記録を作成している病棟では看護師のベッドサイド時間が増加し、記録による残業時間の削減がみられていることが報告されています。

図:患者適応型パスシステム(PCAPS)

 

参考) 患者状態適応型パスシステム(PCAPS)について
https://plaza.umin.ac.jp/~A-epath/PCAPS_HP/outline_aboutPCAPS.html